自分のこと。

日記と自分語り。

2023/01/21(土) しょっぱい

昨夜、父の誕生日を祝いに実家を訪れ、そのまま泊まっている(結果的にお祝いというよりは僕が持ち込んだスイーツに対して「このクリームしつこくなくて良いな……」「こっちは甘いな……お茶請けだな……」などと各々が通ぶった空虚な感想を述べ合う突発菓子品評会になっていた。母に至っては年初に感染したコロナの後遺症・味覚障害が治りきっておらず【しょっぱい】しかわからない中での甘味中心品評会への出席となってしまったため「しっとりしてる」「食感が100円の蒸しパン」といった食感面のレビューしかできていなかった)。

父母と3人で定食屋に向かった。僕と父がハンバーグ定食、母はレバニラ定食を注文。

ボリューム的には1000円近くしてもおかしくなさそうなところ700円。ハンバーグがかなりデカい。Googleのレビューもよかったし、これは期待できる……。さっそく味噌汁からすすった。ん……?

((しょっぱい!!!))

同じタイミングで味噌汁をすすった父と心の声が被ってしまった。出鼻をくじかれた衝撃でテレパシー能力が発現してしまったのだろうか。まるで『フィルムRED』のウソップ・ヤソップ親子である。
そのあとすぐ【しょっぱい】以外の味覚を持ち合わせていない母からの「しょっぱい」という声が心に響いた、否、鼓膜に響いた。声に出ちゃってるよ母。

定食三角食べリレーのスタートダッシュに失敗し、家族全員が不安に駆られていた中、「少し煮詰まっちゃったのかな」と父が大人らしく大人なフォローを入れてくれた。僕も気を取り直して大人しくキャベツを口に運んだ。
葉物野菜のアイデンティティであるシャキシャキ感で口をリセットし、いよいよメインのハンバーグに箸先を向けた。かなり肉厚で、箸ではなかなか切り分けられない。なんとかひとくち大の塊を作って口に運んだ。

(しょっぱい!!!!)

おや、今度は僕だけだ。父はどう感じているのだろうか、と思い父の皿を見ると、もうすでにひとくち食べたあとだった。父から血族限定回線でテレパシーが送られてくる。

(こっちもやっぱりしょっぱいよな……)
(そうだね父ちゃん……)

ひと通り手をつけてから、【しょっぱい】偏重編成の味覚を持つ母にレバニラを分けてもらった。やはりこっちもしょっぱかった。お返しにハンバーグを食べさせてあげた。

———やわい。

いやそこは「しょっぱい」じゃないんかい。